蛇足と新作とまたその蛇足

 

 

 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

今年もできる限り日常の端々まで目を向けて、みなさんに楽しんでいただけるような記事づくりを精力的に行っていきたいと思っております。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 さてそんな新年一発目の記事は、9月の終わり頃からスローペースに更新していた、タグ企画である「#いいねした人をイメージして小説の書き出し一文」がようやく出揃ったのでまとめてみようと思います。一文で済んでない場合のほうが多くてアレなんですけど。

 せっかくなのでちょっとずつ蛇足もつけてみました。使用させていただいたフリーフォントもご紹介していくので、あなたがフォントに興味を持つきっかけになれたらそれほど嬉しいことはありません。

 

 

 この記事を開いてくれた優しいあなた様には未公開の2つも併せてご覧いただけたらなと思います(いちばん最後に載せてあります)。

どのお話も想いを込めて書いたものなので、少しでもお楽しみいただけたら幸いです。

 

 

 

 

 

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・『ミキサー』

(使用フォント/游明朝体+36ポかな ミディアム)

 

 いきなりとんでもない一文から始まってますね。

この人はよく筋トレしてるイメージがあったので、それをドラマチックに描こうとしたら人が死んでました。

 そういえば高校のときも「なんか面白い作品書いたるわ!」と1時間分の脚本を意気揚々と書いたら埼玉県が吹き飛んでいたことがありました。人は4年経ってもそう簡単には変われないみたいです。

 

 

 


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・『胡瓜と愛について』

(使用フォント/筑紫A丸ゴシック レギュラー)

 

 この人はきゅうりのことばかり口にしているイメージがあったので、デザインも緑を基調としたきゅうり仕様です。

 なんと今回のこの企画、初めは文章だけをリプライで送ろうと思っていたのですが、思いつきでおしゃれにしたくなったのでデザインも写真もすべてわたしがひとりでやっております。…別に普通ですね。

フォントもレイアウトもこだわって決めたので、ちょっとでも「イイね〜」と思っていただけたらとっても嬉しいです。

 内容は…特に言うことはありませんが、「歯応えのある水」というフレーズが個人的に気に入っています。

 

 

 


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・『それは、あざやかな紫』

(使用フォント/はんなり明朝)

 

 花は散るから美しいのか、咲くから美しいのか。

儚さか可憐さか、どちらも甲乙つけがたいものですが、わたしは「咲かんと散らんやん」と思っているので後者です。

 これはレイアウトがおしゃれで好きです。

 

 

 


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・『繭の糸は垂らされない』

(使用フォント/なごみ極細ゴシック ExtraLight)

 

 完全に芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を意識してますね。

 ひとの手は「冷たいと優しい」なんてよく言われていますが、生きてるのに冷たいのって死に近づいてるみたいでちょっと不安になったりしませんか?わたしはなります。

あたたかさだけが生きている証拠ではないのですが、ひとのあたたかさが持つ包容力というのはなかなか筆舌に尽くしがたいものがあるとわたしは思います。

 あなたはひとの手があたたかいと安心しますか?冷たいと安心しますか?

 

 

 


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・『風をあつめて』

(使用フォント/フォントポにほんご)

 

 空が綺麗に撮れていてとても好きな写真です。

刻々と表情を変える空を撮るのは楽しくて好きです。

 ところでみなさんは「はっぴいえんど」さんの『風をあつめて』という楽曲をご存知ですか?最近某コーヒー飲料のCMで俳優の窪田正孝さんがカバーしていらっしゃったりしましたね。

わたしはある漫画がきっかけでその曲を知ったのですが、タイトルからしてわかる通り、それです。パクリと言われてしまうと返す言葉もありません。

 いえ、確かに創作の源は”オリジナルの豊かな発想”に他なりません。パクリなど言語道断です。ですが、そのオリジナルの発想というのは”豊かな知識・経験”がないとまずできません。

何かを創ろうとしたとき、机に向かってウンウン唸る前に、本のひとつや音楽のひとつにでも触れたほうがよいというものです。言い訳ですね。

 

 

 


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・『マイスイートハート』

(使用フォント/はんなり明朝)

 

 これは自分でもかなりお気に入りの作品です。

わたしのロマンチックでポエトリーな部分が色濃く出ていますね。

やっぱり私は、あなたさまを愛して居ります。言葉がいけないのでございましょう。愛しています、というこの言葉は、言葉にすれば、なんとまあ白々しく、きざっぽい、もどかしい言葉なのか、私は、言葉を憎みます。(『古典風』- 太宰治)

 わたしの大好きなバンドが「だから言葉なんて覚えるんじゃなかった」と歌っているのを聴いてそれを自分なりに解釈して書いたら、なんとまあ太宰まで同じようなことを言っていたんですね。

 人を心から愛すること、そしてそれを言葉にして伝えることは、いつの時代でもとても難しいことのようです。

 

 

 

 


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・『きみと夢のなかで』

(使用フォント/自由の翼フォント)

 

 時に、みなさんは「夢女子」と呼ばれる人たちをご存知ですか?

平たく言えば芸能人やキャラクターと自分が恋愛している様を妄想して楽しんでいる人たちです。

 わたしはどちらかというとそういった人種ではないのですが、人生で何より愛した芸能人(何度かこのブログでも書いてます)はいます。それはもう本当に大好きで、その人がいなくなった今でもその人のことをずっと考えているのですが、一度だけその人とのどうしても忘れられない夢を見たことがあって。そのときのことを思い出しながら書きました。

 わたしがこの文章を送った人も大好きな人がいた人で、その人の結婚の話を知った話をしているときは本当に狂ってました。それを知る前はおそらくわたしと同じような感じだったのではないでしょうか。

 あとこれは完全に余談ですが、この「自由の翼フォント」はお察しの方もいるかもしれませんが『進撃の巨人』という作品に出てきたフォントを模したものです。この文章の宛先の人はその作品が好きだったのでそれもあってこのフォントを選びました。

 ちなみに画像はクラゲです。かわいいね。

 

 

 


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・『魔法街にて』

(使用フォント/刻ゴシック Light)

 

 この人はよく「ハリー・ポッターに似てる」とイジられている人だったので、完全にそこを目指しています。案の定本人にバレました。

 ハリー・ポッターの舞台であるイギリスはずっと曇っていると以前どこかで聞いたことがあります。産業革命が起こったからなんですかね?

 わたしは比較的晴れ女で自分自身も晴れが好きなので、北欧に行きたい気持ちはあっても曇りだったらちょっと萎えるな〜とポンニャリ思ってます。

 でもイギリス行ってみたいなあ。名探偵コナン大好きなので。

 

 

 


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・『ベイビー、ファンタスティック!』

(使用フォント/マメロン)

 

 この人からいいねをもらったときからなぜかずっとこのタイトルが頭から離れなくて、このタイトルをつけたいがためにこの本文を書いたと言っても過言ではありません。

 彼は運動神経がいいみたいでトランポリンで跳ねてぐるんぐるん回っている動画をあげていたので、それを思い出しながら書いた記憶があります。これは書いててあんまり迷わなかったな。

 デザインが結構好きです。虹もあるし、見にくいけど星もついて、フォント含めポップでかわいいです。

 

 

 


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・『Monster』

(使用フォント/游明朝体 ミディアム)

 

 これは書く際にかなり迷った覚えがあります。

というのも、これを宛てた人はひとつ下の学年で、わたしが持っていた彼の情報があまりにも少なくて。困ったときのTwitterということで覗いたら、エナジードリンクのMonsterが好きだと書いてあったのでそこから連想したのですが、こちらもそれが本人にバレていました。人の特徴って難しいです。

 デザインがメチャクチャ大変で、三角と丸をずーっとちまちまサイズ変えたり移動させたりし続けて気が狂うかと思った。しかも深夜に。何でこんなことし始めてしまったんだ…と何回か挫けそうになりました。でもこの画像をTwitterのヘッダーにしてくれたのを見たときは、本当に救われた気になりました。

 送ったあと、わたしは彼へのリプライで「上げた時点で君のものでもあるから好きなように捉えてくれ」と言いました。

 「作品を発表する」という行為は厄介で、世に出せば創った本人が意図せぬ解釈をされることがあります。でもそれは当たり前のことで。

というのも、作品は世に出した時点でそれは作者の手から離れて受け取った人のものになります。その人の人生が、価値観が反映されて、その人にしか見えないものになる。作者からすればあまりいい話ではないのですが、でもそうなるしかないんです。なぜなら自分以外は全員他人だから。

  なので、国語の問題でもない限り、作品の権利以外は自分のものなので作者の意図などはあまり考えず好きなように解釈すればいいとわたしは思います。

 とはいえガン無視されるとそれはそれで複雑ですけどね。

 

 

 


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・『楽園』

(使用フォント/ヒラギノ明朝 ProN W3)

 

 まあ、そういうことです。

何か語ることがあるとすれば、恋と性欲というのはよく似ていて、どちらも理屈ではないし、人を愚鈍にするということぐらいです。

 

 

 

 

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・『idola』

(使用フォント/じゃっきーふぉんと)

 

 机に伏せたままシャッターを切ったら撮れた不思議な写真です。

 花が咲いたように可愛らしい人に宛てる文章と色味ではなかったな、とつくづく思います。

 ”idola”(イドラと読みます)というのは歌ったり踊ったりする”アイドル”の語源で、ラテン語で「偶像、盲目的信仰の対象」という意味です。

完全に余計なお世話なのですが、言葉で少しでも彼女の抱えるものを軽くできたらな、と願いながら書きました。

 

 

 

 

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・『Change』

(使用フォント/筑紫A丸ゴシック レギュラー)

 

 これまた個人的な話なのですが、谷川俊太郎さんの『恐竜人間』という詩集と写真集が一体化した本がずっと好きで、それをイメージしながら書きました。

 書きながら自分でも「確かに世界って常にする/されるしかないな〜」となぜか第三者的に納得してしまいました。

 どちらにせよ、より優しく生きていきたいものです。東京喰種のカネキケン風に言えば、「傷つける人より傷つけられる人に」ってやつですね。でもそれはダルいのでわたしは御免ですけどね。

 

 

 


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・『パンドラパンダ』

(使用フォント/はれのそら明朝)

 

 これも迷いませんでした。

 ヒトって本当におもしろい生き物で、性善説性悪説も結局汚れるんですよね。最終的にはどっちでもいいことを延々議論してる。高い食べ物も安い食べ物も腹に入れば全部一緒なように、元が綺麗だったかそうでなかったかなんてそう大した問題ではないとわたしは思います。

 宛先がクールなイメージの人だったので、フォントもレイアウトもとにかく「かっこよくすること」を念頭に置きました。でもタイトルがどこかで聞いたことがあるような気がして調べましたが、普通のパンダの記事やかわいい動画しか出てきませんでした。よかった〜!

 

 

 


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・『NOWHERE』

(使用フォント/しねきゃぷしょん)

 

 ネタばらししてしまうと、タイトルは「NO WHERE(どこにもない)」と「NOW HERE(さあ、ここに)」をかけています。自分でも洒落たことしたな〜と思ったので言ってしまいました。でも伝わりにくそうだったので三角の頂点でちょっと文字を区切ってわかりやすくしているあたりがダサいですね。

 ところで「優しさ」って一体何なんでしょうね。

「優しさは努力や才能が要らず、自称した瞬間獲得できる実質ただの”無”」とプリコネのキャラクターが言っている画像をチラ見したことがあるのですが、妙に納得してしまいました。

 厳しくするのが「優しさ」、甘やかすのが「優しさ」。その行為をする人によって、そしてそれを受け取る人によって、「優しさ」の定義は大きく変わります。

「優しさ」とは方便のことなのかもしれませんね。

 

 

 


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・『Letter』

(使用フォント/筑紫B丸ゴシック レギュラー)

 

 高校のときからの大切な友人宛のものです。

たとえ他の何を傷つけたとしても守りたいものは、両腕で抱きしめられるぐらいがいいですね。

 

 

 


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・『ヒカリ』

(使用フォント/筑紫A丸ゴシック レギュラー)

 

 これを投稿したのは真上の『Letter』を書き上げてから実に2ヵ月半経ったときです。なが!

 それまで生活がゴタゴタしすぎて創作意欲みたいなものがまったく湧かなくて、一文も思いつかなかったんですよね。忘れていたわけでは決してないです。本当に何も書けなかった。自分でもびっくりしました。何度も書こうとしたんですが、まったく形にならなくてずっと苦しんでいました。

 そういえば太陽はあと50億年後ぐらいには死んでしまうとリアルに言われていますが、そのとき地球はどうなっちゃっているんでしょうね?

発展しまくって火星に移住するのも夢じゃないかもしれないし、宇宙人と手を組んで宇宙防衛軍なんてのがあるかもしれない。もしかしたらそもそもその頃には人類なんて弱くてちっぽけな生命体は滅亡しているかもしれません。

 広大で謎だらけの宇宙に思いを馳せるのもなかなかおもしろいですね。

 

 

 


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・『思うのは、あなたひとり』

(使用フォント/はんなり明朝)

 

 『想うのは、〜』にしたらよかったな〜とずっと反省しています。

調べたときに出てきたものをそのまま書いたほうがいいと思ったのでそうしたのですが、読み返すと漢字のニュアンス的に「想う」のほうが素敵でした。すみません。

 でも、これの宛先の彼が今Twitterのヘッダー画像にこれを使ってくれていて、書いた者としてはとても嬉しいです。わたし自身もこれは本文もタイトルの意味も写真もレイアウトも全部が本当に気に入っていて、見返しては「天才だな…」と思っています。

 人を愛するとは、「自分の人生のすべてをその人に懸ける」というより、「自分の世界をすべてその人に明け渡す」、あるいは「その人の人生の清濁すべてを飲み込む」ことだとわたしは思っています。

 

 

 


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・『ハローエンジェル』

(使用フォント/姫明朝ともえごぜんmini)

 

 これもとっても可愛らしい、それこそ天使のような人に送ったものなのですが、これまたおおよそ不向きな内容なんですよね。どうしてわたしはこんな…。

 これは本の巻頭にある詩を意識して書きました。『ドグラ・マグラ』の巻頭歌みたいな。なので句読点がないのは脱字とかではないです。

 実際どちらのほうが痛みが少ないのか、考えるとちょっと、いや、かなり切ないですね。

 

 

 


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・『きらめいていてね』

(使用フォント/数式フォント)

 

 Twitterに上げたほうでは「刻ゴシック Light」を使用していたんですが、正直この「数式フォント」とかなり迷いました。読みやすさで言えば圧倒的に刻ゴシックだったので、”人に届けること”を考えてそちらを選んだのですが、数式フォントのほうが出したかった雰囲気が出たんですよね。なのでこちらで上げることにしました。

 

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「刻ゴシック Light」版。読みやすいね

 

 女の子が「かわいくなりたい」「かわいくいたい」と思うのは本当に理屈じゃない。安くないお金を出してかわいい服、かわいいコスメ、かわいいアクセサリーを買ったり、メイク講座を見て実践したり、整形したりしてよりかわいくなろうとするのは男に褒めてもらうためじゃない、まず「自分が自分を認める」ためにあることを忘れないでほしい。それは男性が「かっこよくなりたい」「美しくありたい」と思い、メイクしたり整形したりすることも同様です。

 メイクであろうが整形であろうが、時間とお金さえかければ手に入れられる何よりもフェアな「かわいい」「かっこいい」「美しい」の”手段”は、「フェイクだから」と未だやや否定されやすい風潮にあります。けれどそんなことを言う人たちはだいたい努力をしたくなくて怠けている人たちなので、そんな奴らにあなたの理想を邪魔される筋合いはこれっぽっちもない。

 周りからの評価なんて所詮は尾ヒレに過ぎません。「最高の自分でいたいと思うこと」は誰にも攻められてはいけない聖域なのだから、誰に恥じるでもなく自分の思う”最高”をずっと追いかけていてほしいとわたしは強く思います。

 …失礼、オタクが早口でアツく語ってしまいました。

 

 

 

 

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・『ここは砂漠』

(使用フォント/ヒラギノ角ゴシック W0)

 

 ついに来ましたボーナストラック。

これはすべてのバランスがかっこよくキマっていてお気に入りです。レイアウトもかなり自分好みにできて嬉しいです。

押韻してみたりリフレインしてみたりと言葉遊びも入れてみました。

 書いてて思ったんですが、もしかしてわたし神さまの話メッチャ好きですね?数えてみたら3/22話が神さまの話をしていました。

なるべくテーマが被らないように気をつけてはいたのですが、思考の癖なのかどうしてもネタ被りしてしまうみたいで反省しています。

 もっといろんな話が書けるようになりたいなあ。

 

 

 


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・『夕暮れを見た』

(使用フォント/はんなり明朝)

 

 今回の22枚のなかでも随一のおしゃれデザインだと思います。シンプルイズベスト。

これを宛てたのは、時たま二次創作の小説を書く、高校でできたはじめての友だちです。彼女はすごく綺麗な日本語を紡ぐ人で、いつもよい刺激を勝手にもらっています。わたしは彼女の友人であることをとても誇らしく思います。

 その彼女の作品の中に夕暮れの海にいる2人の話があって。それがとても印象的で、そこからインスピレーションを受けています。

 というかまた思ったんですが、愛の話も3/22話ありますね?でもどれもとてもお気に入りです。

 

 

 「愛」もそうなのですが、感覚として言語化が難しいものを言葉にできたとき、物を書く人間としてはこれ以上ない喜びを感じます。これを感じるために文を書いていると言っても過言ではないのかもしれません。そして人によって解釈が違うそれに触れたとき、「言語表現っておもしろい!」と思うのです。

 ひとつしかない言葉を他の言葉でこねくり回して表現する、なんて滑稽じゃありませんか?ある意味無駄な行為です。直接表してしまえば短く、しかも簡単に済むのに、それでもわたしたちは言葉を尽くして想いを言葉にする。そして、それが書いた人の人生がまるごと表れた唯一無二の産物になる。うーん、素敵な文化です。豊かなる無駄こそ生きる意味。

 たとえばシェイクスピアは、彼の作品の中でも”三大悲劇”と呼ばれる『オセロ』のなかで、嫉妬心を「green-eyed monster(緑色の目をした怪物)」と表現しました。”怪物”はわかりますが、なぜ”緑色の目”なのでしょう?

夏目漱石が放ったとされる、有名な「月が綺麗ですね」という愛のフレーズだってそうです。なぜ「愛している」が「月が綺麗」になるのか。そしてなぜそれに「あたし、死んでもいいわ」と返すのか。

 どちらもその詳細な意図は本人以外にはきっとわかりませんが、各々好きなように解釈するでしょう。

話が記事の中盤まで戻ってしまいましたが、先程の話はこういうことです。人の本心なんて、いくら頭をひねって考えようがあくまでこちらの推測に過ぎません。好きに咀嚼して消化しまったほうが早いというものです。

そんなことでいちいち頭を悩ませていたら、いつまで経っても月の横で星が瞬いていることにも気づけないでしょう。



 

 

 

 既にTwitterで公開した20作とこちらで初めて公開した2作、いかがでしたか?

わたし自身、普段接している人たちのことを「表すために考える」ことは初めてだったので、とても貴重で素敵な機会になりました。

 こちらで蛇足をつけることによって削げてしまった楽しみもあるかもしれませんが、少しでも「面白い」と思っていただけていたら、冥利に尽きるというものです。